GPSBabel 1.10.0でログ吸い出しに成功した実践メモ
古いGPSロガーを使っていると、困るのは本体の故障よりも、むしろ付属ソフトの寿命です。
手元には GT-730FL-S というGPSロガーがあります。長年使われてきた実績のある機種ですが、データ吸い上げソフトとして使われてきた Canway は、すでにディスコン気味で、今後の継続利用には不安があります。
今回は、このGT-730FL-Sについて、
- Canwayでの動作確認
- WindowsでのVirtual COM Port認識の確認
- GPSBabelの導入
- GPSBabel GUIでのログ吸い出し確認
- PowerShellでの再現手順の準備
まで進めたので、備忘録として整理しておきます。
背景
GT-730FL-Sは本体そのものがまだ使えても、専用ソフトに依存している限り、将来の利用継続性に不安が残る機器です。
つまり本質的な問題は、GPSロガー本体の寿命ではなく、
データ取り出し経路の寿命
にあります。
Canwayが使えるうちは問題ありません。しかし、将来Canwayが使えなくなったときにログを吸い出せなくなると困ります。そこで今回は、Canwayを保険として残しつつ、GPSBabelで代替できるか を検証しました。
最初に躓いた点
1. GPSBabelのダウンロード時にESETが警告
最初にGPSBabelをダウンロードしようとしたところ、ESETにより次のような警告が出ました。
望ましくない可能性のあるコンテンツが見つかりました
このwebページは不明なレピュテーションまたは望ましくない可能性のあるコンテンツを含むWebサイトのリストに登録されているため、ブロックされました。
この時点では、GPSBabel本体が危険というより、サイトのレピュテーション判定 でブロックされている可能性が高いと考えました。
その後、改めて公式サイトから GPSBabel-1.10.0-setup64.exe をダウンロードしたところ、今回はESETの警告は出ませんでした。さらに、ダウンロードしたファイル自体をESETで検査し、問題なしであることも確認できました。
2. Virtual COM Portがデバイスマネージャーに出てこない
次に困ったのは、GT-730FL-Sを接続しても
Virtual COM Portがデバイスマネージャーに現れない
ことでした。
この段階では、CanwayやGPSBabel以前に、Windowsがロガーをシリアル機器として認識できていない 状態です。
ここで重要だったのは、次の点です。
- 本体の電源をONにする
- USB接続を見直す
- ドライバの状態を確認する
- デバイスマネージャーでCOMポート番号を確認する
結果として、最終的には COM3 として認識させることができました。
Canwayは問題なく動作
結果から言うと、Canway自体は使用可能でした。ロガーとの接続もでき、ログの読み出しも問題なく実施できました。
つまり今回のテーマは「Canwayが全く使えない」ではなく、
Canwayが使えるうちに、Canway依存から脱出する経路を作れるか
という検証です。
これは非常に重要です。既存環境が動いているうちに代替手段を確立しておけば、将来慌てずに済みます。
GPSBabelの古い版ではダメだった
最初に試したのは、手元にあった GPSBabel 1.3.3 でした。PowerShellで次のように実行してみました。
.\gpsbabel.exe -V .\gpsbabel.exe -t -i skytraq -f COM3 -o gpx -F .\gt730_test.gpx
.\gpsbabel.exe -V
.\gpsbabel.exe -t -i skytraq -f COM3 -o gpx -F .\gt730_test.gpx
しかし結果は次の通りでした。
GPSBabel Version 1.3.3
No valid input type specified
これは設定ミスではなく、1.3.3が古すぎて skytraq 入力形式に対応していなかった ためです。
つまり、GT-730FL-SをGPSBabelで扱うには、新しい版へ更新する必要がありました。
GPSBabel 1.10.0を導入
改めて公式サイトから GPSBabel 1.10.0 を入手しました。
今回の流れは次の通りです。
- 公式サイトからダウンロード
- ESET警告なし
- ダウンロード後のESET検査も問題なし
- インストール時にWindowsの警告は出たが、そのまま実施
そして、この 1.10.0 ではGUIからGT-730FL-Sのログ吸い出しに成功 しました。
ここで確認できたのは、次の3点です。
- 新しいGPSBabelではGT-730FL-Sを扱える
- COM3経由で通信できる
- Canwayに加えて、別系統の吸い上げ手段が確保できた
つまり、Canway一本足打法ではなくなった ということです。
GUIでの吸い上げに成功
今回の作業は最終的に GPSBabel GUI を使って行いました。PowerShellではなくGUIで吸い上げに成功したため、まずは実機対応の確認としては十分な成果です。
ここで大きいのは、
「GT-730FL-SはCanway専用機ではなく、GPSBabelでも取り扱える」
と確認できた点です。
今後は、
- Canway:従来環境の保険
- GPSBabel:汎用的なログ吸い上げ手段
という二本立てで運用できます。
PowerShellでも試せる形にしておく
GUIで成功したので、次はPowerShellから同じ処理を再現できるようにしておくと便利です。
たとえば、インストール先が標準のままで、接続ポートが COM3 の場合、基本形は次のようになります。
“C:\Program Files\GPSBabel\gpsbabel.exe” -t -i skytraq -f COM3 -o gpx -F “$HOME\Documents\gt730_test.gpx”
"C:\Program Files\GPSBabel\gpsbabel.exe" -t -i skytraq -f COM3 -o gpx -F "$HOME\Documents\gt730_test.gpx"
このコマンドの意味は次の通りです。
-t
トラックデータを扱う-i skytraq
SkyTraq系ロガーとして入力-f COM3
COM3からデータ取得-o gpx
出力形式はGPX-F ...
出力ファイル名
GUIで成功しているので、PowerShellでもこの形で再現できる可能性は高いと考えています。
今後の運用方針
今回の検証を踏まえると、今後の方針は次のようになります。
1. Canwayはすぐには捨てない
Canwayは現時点で問題なく動作しているため、保険として残しておきます。
2. GPSBabelを主系候補にする
GPSBabel 1.10.0で吸い出しに成功したため、今後はこちらを主系候補として育てていく価値があります。
3. GPXを標準保存形式にする
CanwayやGPSBabelから吸い出したログは、GPX形式で保管 しておくのが無難です。必要であれば、あとからCSVやKMLへ変換できます。
4. 手順をメモとして残す
古い機器ほど、あとで同じことをやろうとして手順を忘れると苦労します。少なくとも次の項目は残しておきたいところです。
- 使用機器名
- Windows環境
- COMポート番号
- GPSBabelのバージョン
- Canwayの有無
- 吸い出し成功時の手順
- 出力先フォルダ
まとめ
今回の収穫は、単に「昔のGPSロガーがまだ使えた」というだけではありません。
ポイントを整理すると、次の通りです。
- GT-730FL-Sはまだ使える
- Canwayも現時点では使用可能
- GPSBabel 1.10.0でもログ吸い出し可能
- 古いGPSBabel 1.3.3では
skytraq非対応で不可 - COM3経由でGUI吸い出し成功
- 今後はPowerShell化・自動化も視野に入る
つまり、GT-730FL-Sはまだ完全に終わった機器ではなく、
専用ソフト依存から少しずつ脱出しながら延命できる
ことがわかりました。
古い計測機器やロガーを使い続けるときは、本体以上に「データ取り出し手段」をどう確保するかが重要です。今回の一連の作業は、その意味で良い確認になりました。