前回:【人類はどれだけの電力を持続的に使えるのか】第1回:問題提起
— 発熱量・電力量・CO₂の一次試算 —
AIデータセンターの需要拡大を考えるとき、まずは「2500GW」という仮説的なスケール感を確認することが有益だ。これは具体的な目標値ではなく、電力予算を議論するための概算的な出発点である。
> 注記:本稿で扱う「2500GW」は、データセンター需要そのものの予測値ではない。IEA “Electricity 2026” は、再生可能エネルギー、蓄電、データセンターのような大口需要を含む世界全体の系統接続待ちプロジェクトが2,500GW超に達していると整理している。本稿では、この数字を電力系統に現れた接続待ち規模の桁を示す参考値として扱い、仮に常時需要とみなした場合の電力量・排熱を思考実験として試算する。
1.このセクションの問い
2500GWという系統接続待ち規模を、仮に常時需要として置いた場合、人類のエネルギー利用にどのような意味を持つのか。
2.暫定結論
2500GWを仮に常時需要として置くと、年間電力量は21,900TWhとなる。これは、電力として消費される側だけで2.5TW規模の排熱を生む思考実験上のスケールである。
3.前提条件
- 2500GWを、系統接続待ちプロジェクト規模を示す参考値として扱う
- これを思考実験として常時需要に換算する
- 年間8760時間稼働
- 電力は最終的にほぼすべて熱になる
- 発電方式別に発電所側排熱を別途計算する
4.試算の骨子
定常的に2500GWを消費する場合、年間の電力量は次のように求められる。
\( E = P \times 8760\)
\(2500GW \times 8760h = 21,900TWh\)
なお、2500GW規模の電力を常時利用として置くと、年間電力量は約21,900TWhとなる。これは2024年の世界発電量約30,937TWhの約71%に相当し、日本の年間発電量約1,016TWhの約21.6倍にあたる。したがって、本稿の試算は局所的な追加需要ではなく、世界の電力システム全体に近い規模をあえて置く思考実験である。各国・地域の年間発電量は、Ember の Yearly Electricity Data に基づく2024年の代表値として扱う(統計値は更新される可能性があるため、本稿では規模感を把握するための参考値として用いる)。詳細な試算は第9回で改めて整理する。
ここで重要なのは、仮にこの規模の電力が需要側で消費されれば、その電力は最終的にはほぼすべて熱として周囲に放出されるという点である。つまり、思考実験上は需要側だけで2.5TW規模の排熱が生じることになる。じることになる。
5.意味と注意点
2500GWは、あくまで系統接続待ち規模の参考値として扱う思考実験である。実際の需要がこのまま継続するわけではなく、データセンター需要そのものではなく、再エネ・蓄電池・大口需要を含む系統接続待ち全体として見るべきである。
また、発電所側の排熱やLCA CO₂を含めると、全体の影響はさらに大きくなる。再エネ中心でも、重要鉱物の確保や送電網・蓄電・調整力の制約が同時に検討課題となる。
次回は、この2.5TWの排熱が、発電方式によってどのように変わるのかを、発電所側の排熱も含めて整理する。
6.未解決事項
- 2500GW超の系統接続待ち規模は IEA “Electricity 2026” の記述を一次参照とする
- データセンター需要そのものではなく、再エネ・蓄電池・大口需要を含む系統接続待ち全体として扱う
- そのうちデータセンター関連がどの程度を占めるのかは別途確認が必要
- 実効PUEや冷却方式による排熱量の差
- 発電所側排熱とライフサイクルCO₂を含めた全体評価
- どの程度の規模までが「持続的に使える電力」なのかを、制約と照らし合わせる必要